思想史のなかの科学 改訂新版 (平凡社ライブラリー)
新書・選書・ブックレットの通販, 伊東 俊太郎 (著)
によって 伊東 俊太郎 (著)
5 5つ星のうち 6 人の読者
ファイルサイズ : 25.46 MB
科学の思想そのものが問われ、科学と社会の関係、科学の文明における位置が問題とされている現在、古代から現代に至る科学の発達を簡便な通史としてまとめた入門書の決定版。再刊。【「TRC MARC」の商品解説】
ファイル名 : 思想史のなかの科学-改訂新版-平凡社ライブラリー.pdf
以下は、思想史のなかの科学 改訂新版 (平凡社ライブラリー)に関する最も有用なレビューの一部です。 この本を購入する/読むことを決定する前にこれを検討することができます。
科学とは何か、を深く考える ** 今日ほど、科学とは何かが問われなければならない時代はないのではないだろうか。人類史を紐解けば、もちろん過去に科学が急速に発展した時代は数多くある。しかし、分子生物学が進展し、人間の身体がDNAレベルで分析され、その結果として人間の生命をもクローンという形で人工的に作り出すことの可能性がまことしやかにささやかれるようになったのは今日が初めてである。しかしその一方で、日本の将来を担う子供たちに科学は分が悪い。未知の領域を切り開く科学の宿命が、「こわい」イメージ一色で塗り固められているからだ。本書はもとは1975年に、NHKの講座のテキストとして編まれたものが公刊されたものである。だから、思想史と科学の歩みが非常にコンパクトに述べられている。科学にはまったく興味がなくても、人間の思想史には興味がある人ならば、きっとおもしろく読み進めることができる良書である。プロローグに収録されている著者ら3人の対談も興味深い。人間と自然を分離させることに拍車をかけることになった科学的思考が、人間の中に潜在的にあったとするならば、それを顕在化した契機が一体何であったのかがここで問題視されている。著者らはそれを解くカギは思想史の中だけでなく、社会・経済史も合わせて考えられるべきとした上で、「近代市民社会の形成」が大きな契機のひとつであったと主張している。社会学者の端くれである1人としては、著者らの指摘にはとても耳が痛い。自然科学と社会科学に跨る分野の開拓がいまだほとんどなされていないのが現状だからだ。唯一残念だったのは、分子生物学が急速に進歩する以前の1975年に編まれた本であるために、進化論の影響部分をもう少し大きなスコープで、大胆に加筆したものを読みたかった、ということである。きっと1996年の改訂版でもすでに加えられていたのかもしれないが、今日あらゆる分野でその重要性が痛感されているのが進化論であるということを考えると、この進化論の部分だけでも思想史の中だけにとどまらずに展開してほしかったというのは読者のわがままであろうか。進化論は私たちのいまの生活に密着しすぎるほどしているのだということを、科学者や科学史研究者が説得的に訴えることができれば、科学を志す中高校生も増えてくると思うのだが。(bk1ブックナビゲーター:挾本佳代/法政大学兼任講師2002.06.08)
0コメント